最新の記事

隔週月曜更新です

メインビジュアル

Share!

Facebook Twitter はてなブックマーク

2020年03月25日

【煮込む週末】第1回:手羽元ラーメンと牛すじカレー

3連休、ふと思い立って肉をじっくり煮込んでみることにした。鶏の手羽元を9時間煮てラーメンのスープを、牛すじを14時間煮てカレーを作った。すると、手間と時間をかけたぶん、ちゃんとうまくなったし、いつもの手抜き料理では得られない充実感があった。

いい趣味を見つけたかもしれない。続けていけば煮込みの腕前も上がっていくだろう。

「煮込み」を週末のライフワークにしようと思う。

この記事を書いた人

プロフィール写真

Editor/Writer

榎並紀行

NORIYUKI ENAMI

Facebook Twitter

1980年生まれ。ライター、編集者。編集プロダクション「やじろべえ」代表。アメリカで生まれたりしましたが英語は話せません。ぽっちゃりしています。

我が家の炊事担当は僕だが、凝った料理は作らない方針でやっている。

 

特に平日は、味より時短優先だ。先々月からシャープのスーパー便利家電・ホットクックを導入したことで味と効率を両立できるようになったが、その便利さに頼りきりで料理の腕は落ちたと思う。

 

ここで改めて「食材を煮込む」という基本に立ち返ってみたい。

 

今回は3連休をフル活用し、がっつりと煮込みのスケジュールを組んだ

 

そんなに煮込まずとも圧力鍋でやればすぐだろ!なんて正論を言ってはいけない。

 

料理は愛情というし、じっくり煮込むというのは、いかにも愛情を注いでいるっぽい行程だ。うちに圧力鍋がないから精神論でごまかしているわけではない。

 

煮込むぞー

 

1日目:手羽元ラーメンとミニ牛すね丼

1日目は鶏の手羽元を煮込んでラーメンを作る。鶏からうま味を絞りとってカッスカスになるまで煮込みたい。最低でも10時間。

 

なお、我が家の休日の夕飯は19時と決まっている。そこから逆算して朝9時に作業を開始した。  

 

うちの全2個の鍋がフル出動

 

1kgの手羽元を玉ねぎ、長ネギ、にんじん、しいたけとともに煮込んでいく。煮続けると水位がどんどん下がってくるため、水がたっぷり入る深い鍋を使った。

 

一方、手前の浅い鍋では牛スネ肉を煮込んでいる。  

 

牛スネ肉

 

牛スネも、長時間の煮込みによりうまくなることに定評がある食材である。

 

ホロホロになった肉を白めしでかきこむ瞬間を想像してみてほしい。どうだ、今すぐブラウザを閉じて牛スネを買いに走りたくなったろう(閉じないでー)。  

 

いいにおいがしてきた

 

IHにかけて2時間ほど経つと、具がぐつぐつと煮えてきた。

 

野菜から出る灰汁もおさまって、「茹で」→「煮込み」のフェーズに入ったな!という感じがする。  

 

この時点で、もううまい気がする 

 

あとはひたすら煮込むだけ。時を進めよう。  

 

 

4~5時間を経過した頃から、明らかに様子が変わった。

具材のエキスがぐっと入り、「お湯」から「スープ」にクラスチェンジした感がある。  

 

最終的に10時間煮込み、こうなった

 

雰囲気はある。が、問題は味だ。  

 

白だしや醤油を調合し、ラーメンにした

 

ひと口すすると、しっかり鶏のうま味と野菜の甘みを感じるスープになっていた。うん、まあまあうまい。  

 

ちゃんとラーメンだ

 

こういう時って手間をかけたぶんバイアスがかかって、超絶美味!とか今世紀最高のラーメン!とか過剰に表現してしまいがちだけど、実際には「そこそこうまいくらい」だ。

 

冷静に評価すると「あんまり流行ってないけど、近所にあったらたまに行くくらいの感じのラーメン」である。ただ、家でこれだけのものが作れれば上等だ。

 

ラーメン好きの妻も、しっかりスープまで飲み干してくれた。  

 

10時間煮た牛スネも期待通りのホロホロに

 

牛スネ丼にして食べた

 

2日目:牛すじカレー

2日目、3日目のメニューは牛すじカレーだ。

 

朝から10時間煮込んだものと、そこからさらに数時間煮込み、ひと晩寝かせたものの2種類を作っていく。  

 

冷凍の牛すじ500g780円。安い

 

酒と水で煮込んでいく

 

最初のうちは荒々しい生肉のにおいがしているが、煮込むにつれマイルドないい香りに変わっていく。  

 

別の鍋で玉ねぎ、セロリ、ニンジンを炒め

 

3時間煮た牛すじ汁に投入する

 

肉のアブラとエキスが汁にうつり色が変わってきた頃合いで少し水を足し、飴色玉ねぎと人参、セロリのみじん切りを炒めたものを加える。

 

あとは、ひたすら煮込むのみ。

 

なお、牛スジは中途半端に煮るとかえって固くなってしまうが、そこを超えて煮込みきることでとろっとろになるらしい。  

 

煮込み開始から10時間経過したところで、鍋を分ける

 

ひとつはこの段階でルウ(S&Bゴールデンカレー中辛)を投入してカレーにし、もうひとつはさらに数時間煮込んでいく。

 

できた!

 

ひとまず、牛すじカレー(10時間煮込みバージョン)の完成である。

 

ぷるぷるしちゃって、まあ

 

これは……うまかった……。

 

肉の食感を程よく残しつつも、脂身は噛まずにとろける。素晴らしいバランスだ。近所にあったら週イチで通う。単に僕がラーメンよりカレーが好きというだけかもしれないが。  

 

14時間煮込み&寝かせカレー

さて、さらに数時間煮込んだほうの鍋はどうなっただろうか?  

 

こうなった

 

14時間煮込みの牛すじ野菜ブイヨン。ルウを入れていないのにカレーっぽい色合いだ。

 

ここからひと晩の寝かせに入る

 

ルウを溶かしてさらに1時間煮込み、そのまま常温でひと晩おいておく。

 

「煮込み」のあとに「寝かせ」の行程を加えることで、味は変化するのだろうか?

 

どうなんだ、おい!

 

変化あった。ちゃんとうまくなっていた。

 

14時間煮込み&寝かせバージョンは、牛すじがよりルウに溶け込んで一体化している。

 

肉の味がさらに一段階カレーに「入った」感じがする。そのぶん具としての肉肉しさは薄れたが、中年好みの落ち着いた品のいいカレーになっていたのだ。  

 

2日目のカレーはうまい!説が、僕のなかで完全に立証された

 

今回は鶏手羽元と牛すじを採用したが、煮込み甲斐のある食材やアプローチは他にもまだまだある。

 

同じカレーやラーメンでも食材を変えたり、シチューや豚の角煮、チャーシューなど、別の料理にも挑戦していきたい。そして、どんどん煮込み力(にこみりょく)を上げていきたい。

 

今回の「やりたいこと」にかかった金額

牛すじ500g 780円
手羽元1kg 680円
牛スネ角切り 524円
玉ねぎ3個 198円
にんじん3個 198円
セロリ1本 98円
長ネギ1本 98円
2576円