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2020年04月29日
夫婦でガンプラを作る
とある休日、夫婦でガンプラを作った。
今のガンプラはパーツが多く手が込んだつくりになっていて、ビギナーは組み上げるのに何時間もかかる。家で没頭できて、充実感もある。時勢に合った趣味といえる。
出かけられない大型連休の軸になるレジャーが見つかったかもしれない。
妻の手を引き沼へ
周囲にガンプラ好きは多いし、やればきっと楽しいだろうと思っていた。しかし、その沼は底なしだと聞く。忙しい日常をさばきつつ、そんな深すぎる趣味に費やす時間は今のところない。
そのためガンプラと盆栽は定年後までとっておこうと思っていたのだが、コロナのせいでいきなりまとまった時間ができてしまった。これは老後の扉を前倒しで開くべきタイミングなのではないか。
しかし、ひとりでは怖いので妻を道連れにすることにした。
「来週の土曜日、一緒にガンプラを作ろう」
誘うとき、なぜか照れた。日時を決めてイベント化することで、ガンプラ作りにもデートっぽさが出て気恥ずかしい。
というわけで、それぞれ好きなガンダムを買った。僕はいわゆるファーストガンダム。妻はデスサイズヘルという死神風ガンダム。僕のガンダム知識はF91で止まっているためデスサイズヘルが分からなかったのだが、『新機動戦記ガンダムW』というシリーズに出てくるそうだ。
妻の推しガンダムであるというが、そういう不良っぽいのが好みだったとは知らなんだ。不良どころか死神なんだけど。
ランナーと呼ばれる枠からパーツを切りとり組み立てていく。ランナーにはアルファベットが振られているので、順番に並べておくと必要なパーツを探しやすい。
ランナーを縦にしておくと使いたいときにサッと取り出せる。これはガンプラだけでなく、お皿などを収納する時のコツでもある。
おやつも用意した。ここぞという時に食べようとお菓子ボックスに保管しておいたサッポロポテトのベジタブル味。なんとなくガンプラにはサッポロポテトが合う気がするし、記念すべき夫婦の初ガンプラ作りはまさに「ここぞ!」であろう。
サッポロポテトに気を取られていたら、妻はてきぱきとボディを終わらせヘッド部分に取り掛かっていた。
負けじとボディを組み立てる。この時点でもう、かなりガンダム。これが道端に落ちてたら9割の人がガンダムだと答えるだろう。残りの1割はファンキーな甲殻類と答えるかもしれない。
その後、途中で飽きたりしながらもハイペースで作業を進める妻。
片やこちらは、一つひとつの工程でいちいち苦戦してしまう。説明書には「穴にカチっとはめてください」などと書かれている。しかし手に残るのは、へにょっとした不安な手応え。たぶん何かが間違っているのだが、そのまま突き進む。
妻はすでに、最後の足パートに取り掛かっている。
できた足を目の前に置いて挑発してきた。
気づけば5時間が経過。
なんとか本体は完成。
それにしても美しい……。最近のガンプラは巣組みでもめちゃくちゃかっこいいのである。
あとはシールドやライフルなどの武器を残すのみだ。
一方、そのころ妻はすでにデスサイズヘルを完成させ、かっこいいポーズの研究に入っていた。
遅れること1時間、僕のガンダムも完成した。
いい時間だった。こんなに何かに没頭したのはひさしぶりだ。妻も楽しかったようで、さっそくAmazonで次のガンダムを物色していた。そして、飾る場所を確保するためゴールデンウイークに断捨離をしようということになった。風が吹けば桶屋が儲かるし、夫婦でガンプラを作れば家が片付く。
勢いでジオラマに挑戦する
このさいなので、かねてから憧れていたジオラマに挑戦してみた。せっかく作ったガンダムを、最高にかっこよく飾りたい。
テーマは「砂の星で遭難したガンダム」にした。遭難するガンダムがかっこいいかどうかは意見が分かれるところだろう。
まずはウェザリングという汚し塗装で、砂と熱にさらされ朽ちたボディを演出する。
ウェザリングには2つの塗料(Mr.COLORの「ブラックグレー」と「レッドブラウン」)を混ぜ合わせたものを使用した。インターネットにはガンプラの達人みたいな方々が山ほどいて、師匠には事欠かない。
エッジ部分を中心にスポンジで塗料をポンポンすること数分。おお!
なかなかいい。赤い砂にまみれ錆びついたガンダムの悲哀がよく出ていると思う。
続いて「砂の星」を作る。
アクリルケースの底に紙粘土を敷き詰め、乾いたら塗料を塗って砂地のベースにする。奥の廃墟は、ありもののジオラマ用品を使った。
砂地のベース塗料はタミヤの「情景テクスチャーペイント(砂 ライトサンド)」。ざらついた砂の質感がリアルに出る(と、これもインターネット師匠の教え)。
今回は火星のような赤い砂をイメージしているため、仕上げにカラーサンドをまく。
素人のくせに偉そうなこだわりはいっちょまえだ。
背景をオレンジにすると「砂の星」っぽさが出た。さっきから連呼している「砂の星」が何かというと、生身の人間が一瞬で蒸発するほどの灼熱で、なんか毒ガスとかもすごい出ていてそれはもう過酷な環境の星です。
そして、そこには激しい戦いの末、行動不能になったガンダムが。
自分でやっておいてなんだが、かわいそうだ。胸が締め付けられる。
「激しい戦いの痕跡」を表現するためにザクを犠牲にした。ごめんザク。
・・・いやあ、楽しい。ジオラマとは、小さな箱に「物語」を描くことなのだと思う。ナマ言ってすみません。
次は「古代遺跡で石化したガンダム」を描きたい。これまた物語がうすら悲しいが、そういうものに惹かれる暗い性格なのだと思う。
※5月2日追記。作りました。
やはり悲しいな。
50歳までにやりたい100のコトVol.019
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