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2020年07月27日

瓦を割りたい

空手家のパフォーマンスとして知られている「瓦割り」。積み上げられた瓦を拳ひとつで割る姿は、見ているだけでも爽快な気分になる。ましてや、自分で瓦を割ることができれば、なおのことだろう。
ちなみに地上最強の生物「範馬勇次郎」は予備動作をせずに40枚の瓦を粉々にしている。……僕も強くなりたい。というわけで、今回は瓦割りに挑戦してきた。

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小野洋平(やじろべえ)

YOUHEI ONO

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1991年生まれ。編集プロダクション「やじろべえ」所属。いくつになっても横断歩道の白線は踏んで渡ります。

己の拳にすべてを込めろ!

 

 

 

訪れたのは、戸越銀座商店街から徒歩5分の「かわら割道場」。

 

「道場」とは言うものの、こちらは昭和26年創業の屋根専門工事会社「石川商店」 が行うサービスであり、元々は「日本の瓦文化に親しんで欲しい」と思い付きで始めたそう。

 

 

さっそく瓦割りのコツを指南していただく。ご指導いただいたのは、道場師範の石川さん。筆者からすれば愚地独歩だ。

 

空手経験のない僕でも割れるもんですかね?

 

割れますよ。というのも、使用する瓦は「熨斗(のし)瓦」といい、金づちで半分に割って使う建材なんです。

 

 

そのため、瓦の裏面にはきれいに割れるよう、あらかじめ浅い溝が入っているんです。なお、瓦割りにおいては、一般の人でも叩き割れるように溝を深くした熨斗瓦を使用しているので安心してください。仮に、通常の熨斗瓦で瓦割りをした場合、割れるのは1〜2枚くらいでしょうし、怪我のリスクも高いのでやめましょう。

 

そうだったんですね。急に自信が湧いてきました。

 

とはいえ、瓦は瓦です。通常の瓦と同じ1200℃以上の高温で焼きあげているため、硬さは十分ですよ。

 

 

本当だ。ちゃんと痛い。

 

今回は、何枚にチャレンジされますか?

 

えっと、何枚が映えますかね?

 

瓦割りの料金表

 

男性であれば、15枚割れたらかっこいいと思います。むしろ、10枚以下は自慢できないでしょうね(笑)。最近では、YouTube配信や結婚式の余興ムービーのために挑戦される方が多いですよ。

 

プレッシャーがかかりますね。15枚をきれいに割るコツはありますか?

 

 

基本的なフォームとしては、腰を落とし、拳を高く上げ、まっすぐ振り抜くだけです。そして、拳に体重を乗せ、地面まで貫くイメージで叩いてみてください

 

 

一番大事なポイントは「叩く場所」。先ほどお見せした通り、割れ目は真ん中に入っているので、瓦の中心を叩くことができれば、きれいに割れますよ。あとは、気合ですね。

 

最後は根性論ですか?

 

いえ、要は思い切りです。テレビなどで観るように、きれいに割ろうと思って叩くと15枚はまず無理です。あくまで、自分は物を壊しに来ている“クラッシャー”という気持ちで臨まなければ、叩き割ることはできないでしょう。

 

クラッシャーか。頭ではわかっていても思い切れるか不安です。

 

 

怖気付く筆者に、道場長が瓦割りのノウハウ動画を見せてくれた。かっちょい〜!!

 

 

 

一拳入魂! そして、一頭入魂!

 

 

そんなわけで、目の前には15枚の瓦がセットされた。

 

筆者も石川商店のはんてんを羽織り、グローブをしっかりと装着。ここから気を一点に集め、自分を信じ、拳にすべてをかけようじゃないか。

 

とりゃ!!

 

残念ながら、結果は10枚に終わった。石川さん曰く、思い切りが足りなかったそう。「10枚以下は自慢できない」という先ほどの話が脳裏に浮かぶ。

 

気を取り直そう。残りの5枚を割り切れば、良しとしようじゃないか。

 

はっ!!

 

結果は2枚。これまた、思い切りが足りなかったそうだ。シンプルに恥ずかしい。

 

残る瓦は3枚。枚数は少ないものの、最後くらいはかっこよく終わりたい。というわけで、ラストは正拳突きで締めくくることにした。

なお、瓦割りの怪我は自己責任となるため、無茶はせず、スタッフの指示に従って挑戦してほしい。

 

てりゃ!!

 

 

ようやく15枚を割り切ることができた。範馬勇次郎のように一気に貫くことはできなかったが、これはこれで楽しかったように思う。まだまだ地上最強の生物までは、遠そうだ。

 

 

ここでカメラマンとして同行してくれた、上司の榎並さんが名乗り出た。

 

何を隠そう、榎並さんは元ボクシング部。もしかしたら筆者の瓦割りを見て、拳が疼いたのかもしれない。いや、違う。きっと恥ずかしい結果に終わった筆者の汚名を返上しようとしてくれているのだろう。頼もしい上司である。

 

あれ?

 

瓦割りで一番大事なポイントと教わった「叩く場所」を大きく間違えている。これには石川さんもコメントしようがなさそうだ。

 

次はコントロールして8枚を割ったものの……

 

 

またもや、叩く場所を見誤っている

 

 

しかし、最後は見事な正拳突きでフィニッシュ

 

 

ちなみに割った瓦には名前やメッセージが書き込め、かわら割道場の屋根として再利用するとのこと。

全てひらがなの弊社名「やじろべえ」を書き間違えてしまった。頭を打ったせいかもしれない。これもまた一興ということにしよう。

 

 

次こそは、15枚の瓦を一気に貫く。割った瓦を屋根に施工しつつ、そう誓った。

 

【取材協力】 かわら割道場

https://riverstone-roofing.com/kawarawari/

 

今回の「やりたいこと」にかかった金額

体験料(15枚) 4900円
4900円