最新の記事
隔週月曜更新です
2019年11月02日
蕎麦屋で呑みたい
蕎麦屋で呑みたい。ニシンや板わさ、焼味噌などの渋いアテで日本酒をやりたい。そして、蕎麦で締めたい。
蕎麦屋で呑むという行為には、食の道楽を極めたようなかっこよさがある。その先に、「塩で酒を呑む」というのもある。それもいつかやりたい。
せっかくなので、評判のいい本格的な蕎麦屋を訪ねた。
やってきたのは「東白庵かりべ」さん。東京の神楽坂にある(※2019年11月から千歳烏山に移転)。
本格蕎麦屋です
ミシュランの星をとるほどの店主が営む、本気の蕎麦屋である。もう少し気軽に入れる居酒屋寄りの蕎麦屋でもいいのだが、少し緊張するくらいの店のほうが趣旨に適っていると思い、ここにした。ネットでの評判もいい。
席に着きビールを頼むと、お通しのごま豆腐がでてきた。蕎麦屋のお通しとして、最高にちょうどいいと思う。
しっかりおいしいごま豆腐に、期待値が上がる。
お通しを食べて少し落ちつくと、お店の居心地の良さに気づいた。店内は品よく落ち着いた感じだけれども堅苦しさはなく、むしろ和やかな雰囲気だ。へんに格式張ってないし、店員さんも親切だった。ここからは僕も食通ぶりっこせず、肩の力を抜いて素直に食事を楽しんでいこう。
ぜんまい。
にしん。
最初のつまみは、にしん、ぜんまいにした。本格蕎麦屋のつまみといえば、にしんやぜんまい、野沢菜、焼味噌、玉子焼きである。エビマヨやフライドポテトは置いてない。軽くつまめるものが多いのは、最後に蕎麦を食べてもらうことを前提にしているからかもしれない。
にしんもぜんまいも、素晴らしい味付け、絶妙な食感だった。甘辛い味がしっかり染みているのにくどくない。ビールがぐいぐい進む。
ワインもあるという。
白を注文した。「白」とか偉そうに書いたが、ワインを知らないのでリストの一番上のやつにした。オーストラリアのワインだという。グラスとコースターが、しゃれている。
ワインには鴨を合わせた。ワインに鴨を合わせるだなんて、グルメ上級者みたいで照れる。
スモークしてある鴨の香りが鼻に抜け、ワインの爽やかな芳香と混ざって溶ける。
憧れの「そばがき」を頼む
さて、いい蕎麦屋にきたら頼んでみたいメニューがあった。そばがきだ。
しかし、いかんせんいい蕎麦屋ビギナーなので、そばがきがどういう立ち位置のもので、いつ頼めばいいのか分からない(酒のつまみなのか、シメなのか)。
なので、素直に聞いた。
「そばがきって、どのタイミングで食べるんですか?」
まぬけな質問だ。だが、店員さんの対応はやさしい。ちなみに、べつにいつでもいいらしいので、ここで頼んでおく。
そばがきを待つ時間は、読書に充てた。酒を呑みながら本を読むのに憧れていたのだ。
ちなみに、いま夢中なのはひいじいさんの日記である。家系や先祖の歴史について、200ページにわたりびっしりと書かれている。新聞記者だったひいじいさんがプロの取材力を駆使してまとめあげた一大家族記だ。読み物としても、とてもおもしろい。
ひいじいさんの父が寺の婿養子になったエピソードに差し掛かったところで、憧れのそばがきがきた。
ここで日本酒にシフト。
追加で焼味噌と
玉子焼きを頼んだ。この玉子焼きがまた、ホワホワでうまかった。
うまい味噌をなめ、そばがきをつつきながら、日本酒をやる。これぞ蕎麦屋呑みだ。シメのそばを見据えて胃袋の余力を残しつつ、徐々に酔いを回していく。こういうのが大人の呑み方なんだなあと思う。
蕎麦で締める
これまで、脂っこいつまみを最初に頼み過ぎてすぐ腹いっぱいになってしまう飲み会ばかりしてきた。それはそれで楽しいが、大人は呑み方に型があり、美しい流れを意識する。いきなり山盛りフライドポテトを頼んだりはしないのだ。
そして、満を持してそばを注文。お腹いっぱいになりたくて天ぷらそばにしてしまい、大人になりきれないわんぱくさが出てしまった。
わんぱくにすする。おいしいなあ…。
最後は蕎麦湯をつまみに日本酒を呑むという、いかにも通っぽいことをナチュラルにやっていた。通とは無理に気取るものではなく、気づけばそこにあるのかもしれない。
ごちそうさまでした。
今回の「やりたいこと」にかかった金額
生ビール | 600円 |
---|---|
ぜんまい | 600円 |
にしん | 1000円 |
鴨のスモーク | 1200円 |
グラスワイン | 800円 |
日本酒(天明 純米吟醸) | 1500円 |
そばがき | 1300円 |
焼味噌 | 600円 |
玉子焼き | 600円 |
天ぷらそば | 2400円 |
10600円 |