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2020年10月26日
サウナ・スパ健康アドバイザーになりたい
われわれ夫婦には夢がある。「町に銭湯をつくること」だ。
もちろん、いまはそれぞれに仕事があり、そして先立つものもない。
じゃあ、今できることは何か。
サウナ・スパ健康アドバイザーになって、銭湯のことをもっと知ろう。
(写真協力:五色湯)
自宅で完結・アドバイザー試験
サウナ・スパ健康アドバイザーとは、日本サウナ・スパ協会の公式資格である。
受講すればサウナやお風呂で健康になるための正しい知識が得られるため、将来、本当に銭湯を運営する際にも役立つに違いない。
じつはステイホーム期間、その存在がかなり気になっていた。
自宅でサウナ・スパの勉強ができて、アドバイザーの資格ももらえる。
こりゃあいい。
ということで、早速受講の申し込みをした。
内容は、健康法やボディケア、そして施設内での応急処置など、かなりしっかりしたものである。学生のときに取得した、危険物取扱免許の試験を思い出した(わたしは5年半「カフェ兼ガソリンスタンド」という奇天烈なバイト先で働いていたのだ)。
ある程度勉強したら、いざ筆記試験。ここまですべて自宅で完結できる。
ちなみに、もちろん試験監督とかがいる訳ではないので、きわめてリラックスして受験できる。もう令和のあらゆる試験はそれでいいと思う。
そして数日後。
みごとサウナ・スパ健康アドバイザーになった。
やったね!
〜終〜
終わらない
いやいや、まだ終われない。
わたしはもっと知りたい。
サウナのこと、スパのこと、サウナ・スパ健康アドバイザーのこと、そして日本サウナ・スパ協会のこと。
……。
ということで、日本サウナ・スパ協会に、知りたいことを直接聞いてみることにした。
今回お話を伺ったのは、協会事務局長の若林さん。
資格を取っておいて「この資格ってなんですか」と質問するわたしを許してくれる、懐の広いお方だ。料理を食べておいて「美味しかったです!ところで、いまわたしが食べたものはなんですか」と聞く客みたいなもんだからな。
日本サウナ・スパ協会とは
——この度は取材協力ありがとうございます。まずは日本サウナ・スパ協会、ならびにこの資格が設立されるにいたった経緯を教えてください。
当協会は平成2年(1990年)に「社団法人日本サウナ協会」として、わが国におけるサウナ営業者の資質の向上、サウナに関する正しい知識の普及ほか、健全なサウナ事業の発展と育成、さらには環境衛生の向上に寄与することを目的に設立されました。
詳しくは「昭和・平成のサウナ史」にまとめていますので、ご参照ください。
また資格については、協会の定款(目的)第3条
「営業者の資質の向上、サウナ・スパに関する正しい知識の普及及び啓発、サウナ・スパ営業施設の衛生水準の向上を図る等、健全なサウナ・スパ事業の発展と育成に努め、もって環境衛生の向上と国民の健康増進に寄与することを目的とする。」
以上にのっとっております。
——なるほど(こんなにしっかり答えてくださるとは……申し訳ない……)。
どのような方々がこの資格をとっているのですか。
当初は、サウナ・スパ施設(温浴施設)の従事者が知識を得るために始めたものでした。しかし、利用する方々にも知っていただくことで、ご自分の健康増進や施設での事故防止等につながり、他のお客様へのお手本にもなっていただける、という考えで、誰でもホームページから気軽に申し込みできるようにしています。
資格を取ると、協賛店での入浴料金も割引されますよ。
——すごい、視野が広いですね(失礼な言い方になってないだろうか……)。
とはいえ、もうわたしは資格をとってしまいました。
いや実は、これには上位資格があるんです。
——なんと!!!
その名も「サウナ・スパプロフェッショナル(管理士)」。こちらでは医学的な知識も問われるので、難易度は結構上がります。施設のオーナーや支配人など、管理者が受講してもらう内容ですが、最近は温浴に興味のある方々も熱心に受講されています。
サウナ・スパ健康アドバイザーをすでに取られた方なら、受講できますよ。高田さんもいかがですか。
——前向きに検討いたします。そもそも、アドバイザーの受講者ってどのくらいいるんですか。
2014年度は280名でしたが、2017年度には670名、そして2019年度には2700名にも及びました。累計では8,300名を超えましたよ。
——すごい、5年で10倍!!!
ドラマ『サ道』の影響が大きかったと思います。
——わたしもめちゃめちゃ見ていました。
サウナ・スパでのマナーのついて
——せっかくなので、前々から知りたかったことを聞かせてください。サウナ・スパでのマナーって、けっこうややこしくないですか……?わたしも知らずに振る舞って、おじさま方に大目玉くらったことが何度もあります。
いくつかお聞きするので、協会としての見解をお聞かせください(重荷だ……)。
①水風呂は潜ってはだめなのか
——永遠の課題です。はっきり禁止している施設もあれば、おじさまがダイビングしている施設もありますよね。
これに関しては「衛生管理基準」から抜粋しますね。
「(5)浴槽水の消毒にあたっては、塩素系薬剤を使用し、浴槽水中の遊離残留塩素濃度を 頻繁に測定して、 通常 0.4㎎ /L程度を保ち、かつ、遊離残留 塩素濃度は最大1㎎ /Lを ?超えないよう努めること 。 結合塩素のモノクロラ ミ ンの場合には 、3㎎ / L程度を保つこと。」
個人的にも冷水浴は好きですが、いくら管理されていても多くの方が入るので、衛生面の点からは潜るのはおすすめできませんね。浴室から出る際も、最後はシャワーを浴びた方がいいと思います。
——ぎゃ。いつもそのまま出てました。いけないいけない……。
②ドレスルームではタオルを腰に巻かないとだめなのか
——これに関しては、昔おじさまにキレられました。どうでしょうか。
決まりはないですが、マナーとして巻いた方がいいでしょうね。
——はい。
③サウナでストレッチや筋トレをしてはだめなのか
本来サウナは、静かに入るところですので、運動やストレッチはしない方がいいと思います。ですが、サウナ室が空いていて他のお客様に迷惑がかからない場合は、されている方もいますね。
——「迷惑かどうか」の観点ですね。そういえば、名古屋のサウナ・ウェルビー栄店では「ストレッチ・ロウリュ」と題して、熱波師さんの指示のもと、みんなでストレッチしましたよ。いい汗かいた気がします。
「コロナ禍」以後について
——新型コロナウイルスの影響により、休業を余儀なくされたサウナ・銭湯もありました。いちファンとしては大変心苦しかったです。実際のところ、サウナ・銭湯における「感染リスク」ってどんなもんでしょうか。
感染リスクについては、サウナ室は温度や湿度が高くても科学的治験は出ていません。やはり生体間の飛沫等が問題ですので、ガイドラインに沿って営業を行っています。
——なるほど。個人的には、ただただサウナに入りたいので「感染リスクはないやろ!」と思いたいのですが、客観的に情報を捉えて、冷静に考えないといけませんね。
ガイドラインの詳細はこちらをご覧ください。
https://www.sauna.or.jp/pdf_files/2020NewCoronavirusCountermeasuresGuidelines2.pdf
他にも、当協会ホームページでは様々な情報を公開していますので、ぜひ参考にしてください。
——ありがとうございます。最後に、今回の件を受けて「公衆浴場」は今後どうなっていくんでしょうか。ぼやっとした質問ですみませんが……。
これまでは、たくさんお客様が来ていただくことを営業の目的としていました。しかし今回のようなことがあると、「適切な人数」で営業をしていくことをどうしても考えていかなくてはなりませんね。すでに営業形態が変わっている店舗もあります。
——これに関しては銭湯に限らず、すべてのサービス業に通ずるところがありますね。お話しいただき、ありがとうございました。実はわたしは将来、町に銭湯をつくりたいと思っているんです。
それならば、ぜひ「サウナ・スパプロフェッショナル」の資格を取ってください!
——はい!!!
おわりに
軽い気持ちでアドバイザーを取得したが、気がつけば「沼」のそこそこ深いところまで足を突っ込んでしまったような気がする。
正直なところ、アドバイザーになること自体はそこまで難しくはない。大切なのは、アドバイザーになってからどうするかだ(おお、もっともらしいことを言い始めたぞ)。
「コロナ禍」以後においても、不明な点を抱えつつも、それでも営業していくためにはどうしたらいいか。将来自分で銭湯を作るとなると、そういったことも考えていかなければならないことに、今回の取材で気がついた。
よし、これで銭湯開業への大きな一歩を踏み出せたぞ。
ここまできたら、ぜひプロフェッショナル研修も受けてみようではないか。
しかし、プロフェッショナルの受講料はけっこうな値段だ。 ううむ、銭湯開業への道は険しい……!